【他のレンジ/シート/ブックを更新する】

7 Pythonの汎用型プログラム構成

8 定数で指定したブックを更新

9 セルで指定したブックを更新

10 Excel_VBA/マクロからPythonを実行しブックを更新

11 フルパスを指定したブックを更新

12 テンプレートから出力ブックを作成し更新

13 PythonからExcel_VBA/マクロを実行しブックを更新

Excel_VBA/マクロからPythonを実行しブックを更新

 今回は、Excel_VBA/マクロからPython-xlwingsを呼び出し実行し、
 入力ブックからデータを読みとり出力ブックへデータを書きこんでみます。


 Pythonプログラム実行用ブック・Pythonプログラム・入力ブック・出力ブックの関連図は次のようになります。

Img10_3_01

 前回までは、Python-xlwingsにより、『漢字入力帳.xlsx』からデータを読みとり、

 『漢字問題集.xlsx』、及び、『漢字解答集.xlsx』へ連続してデータを書きこみましたが、

 今回は、Excel_VBA/マクロからPython-xlwingsを呼び出し実行することにより、

 『漢字入力帳.xlsx』からデータを読みとり、『漢字問題集.xlsx』、及び、『漢字解答集.xlsx』へ

 連続してデータを書きこみます。


 Excel_VBA/マクロからPythonを実行しブックを更新することになるため、

 Excelマクロ有効ブック(*.xlsm)を作成します。

 Pythonプログラムファイルを保存しているフォルダ内に、

 入力ブック名と出力ブック名を記載した『ブックからブックへ更新マクロ1.xlsm』を作成します。

Img10_3_02

 Windowsにはコマンドプロンプトという機能が標準装備されています。

 コマンドプロンプトは、実行したいファイルのフルパスを入力することで、

 そのファイルを実行することができます。

 Excel_VBA/マクロには、このコマンドプロンプトを操作することができる

 『WshShellオブジェクト(Windows Script Host Shell Object)』というアドインが用意されています。

 つまり、Excel_VBA/マクロとPythonの間にコマンドプロンプトを絡ませれば、

 どのマクロからもPythonを実行することができるようになります。


 Pythonファイルを呼び出しコマンドプロンプトで実行するExcel_VBA/マクロの構文は次の通りです。

Img10_3_06

 『WshShellオブジェクト』をつかうためには、下記のアドイン設定が必要です。


Img10_3_07

 Visual Basic Editorの『ツール』タブから『参照設定』を選択


Img10_3_08

 『Windows Script Host Object Model』をチェックして『OK』をクリック


 これで、『WshShellオブジェクト』が使用可能になります。



 Pythonプログラムファイルを保存しているフォルダ内に、

 10問の漢字文字列を用意した『漢字入力帳.xlsx』、白紙の『漢字問題集.xlsx』・『漢字解答集.xlsx』

 を作成しておきます。

『漢字入力帳.xlsx』
Img10_2_11
『漢字問題集.xlsx』
Img10_2_12
『漢字解答集.xlsx』
Img10_2_13

 『漢字問題集』、または、『漢字解答集』を作成する共通の処理を関数『kosin_kanjigakusyutyo』として定義、

 その関数『kosin_kanjigakusyutyo』を『漢字問題集』の作成、及び、『漢字解答集』の作成でそれぞれ呼び出す

 メイン処理を関数『main』として定義、

 『if __name__ == '__main__':』のときに関数『main』を呼び出す

 といった仕様のPythonプログラム『PXS8100.py』を作成します。

 Pythonプログラム『PXS8090.py』をコピーして、Pythonプログラム『PXS8100.py』に名前を変えます。


 オブジェクト生成部・定数部を改修します。

 

定数『CBook』に『ブックからブックへ更新マクロ1.xlsm』を格納

 

import xlwings as xw

CBook = 'ブックからブックへ更新マクロ1.xlsm'

 

 


 関数『kosin_kanjigakusyutyo』については、変更点はありません。


 関数『main』についても、変更点はありません。


 『漢字入力帳.xlsx』からデータを読みとり、『漢字問題集.xlsx』、及び、『漢字解答集.xlsx』へ連続して

 データを書きこむPythonファイルは次のようになります。

 【Pythonファイル】

# PXS8100.py

import xlwings as xw

CBook = 'ブックからブックへ更新マクロ1.xlsm'

CB = xw.Book(CBook)

Cst = CB.sheets[0]

EBook = Cst.range('C5').value

EB = xw.Book(EBook)

Est = EB.sheets['漢字入力帳']

読取問題番号列 = 1

読取列 = 2

最大枠数 = 4

漢字最小列 = 3

漢字最大列 = 6

読取最小行 = 2

読取最大行 = Est.range(Est.cells.last_cell.row, 2).end('up').row

WBookMD = Cst.range('C8').value

WBookKT = Cst.range('C9').value

WSheetMD = '漢字問題集'

WSheetKT = '漢字解答集'

最大列 = 10

書込列数 = 5

書込ステップ列 = -2

書込問題番号最小行 = 1

書込ステップ行 = 15

 

def main():

kosin_kanjigakusyutyo(WBookMD, WSheetMD)

kosin_kanjigakusyutyo(WBookKT, WSheetKT)

 

def kosin_kanjigakusyutyo(WBook, WSheet):

WB = xw.Book(WBook)

Wst = WB.sheets[WSheet]

# ===== 読取行の最小行から最大行へのループにより読取行をカウントアップ =====

for 読取行 in range(読取最小行, 読取最大行 + 1):

問題番号 = Est.range(読取行, 読取問題番号列).value

書込問題番号行 = int((問題番号 - 1) / 書込列数) * 書込ステップ行 \

+ 書込問題番号最小行

最小行 = 書込問題番号行 + 1

列番号 = 最大列 + ((問題番号 - 1) % 書込列数) * 書込ステップ列

列英字名 = Wst.range(1, 列番号).get_address \

(False, False).replace("1", "")

枠領域 = 列英字名 + str(書込問題番号行)

Wst.range(枠領域).value = 問題番号

Wst.range(枠領域).api.Font.Size = 10

txt = Est.range(読取行, 読取列).value

最大文字数 = len(txt)

# == 文字列の先頭文字から最終文字へのループにより位置インデックスをカウントアップ ==

for 位置インデックス in range(0, 最大文字数):

行番号 = 最小行 + 位置インデックス

Wst.range(行番号, 列番号).value = txt[位置インデックス]

# ===== 漢字列の最小列から最大列へのループにより漢字列をカウントアップ =====

for 漢字列 in range(漢字最小列, 漢字最大列 + 1):

漢字名 = Est.range(読取行, 漢字列).value

if 漢字名 is not None:

位置インデックス = Est.range(読取行, 読取列).value.find(漢字名)

if 位置インデックス >= 0:

行番号 = 最小行 + 位置インデックス

列英字名 = Wst.range(1, 列番号).get_address \

(False, False).replace("1", "")

枠領域 = 列英字名 + str(行番号)

Wst.range(枠領域).api.Borders.LineStyle = 1

if WSheet == WSheetMD:

Wst.range(枠領域).value = ""

ふりがな読取列 = 漢字列 + 最大枠数

ふりがな名 = Est.range(読取行, ふりがな読取列).value

if ふりがな名 is not None:

ふりがな列 = 列番号 + 1

列英字名 = Wst.range(1, ふりがな列).get_address \

(False, False).replace("1", "")

枠領域 = 列英字名 + str(行番号)

Wst.range(枠領域).value = ふりがな名

Wst.range(枠領域).api.Font.Size = 8

Wst.range(枠領域).api.HorizontalAlignment = -4131

Wst.range(枠領域).api.Orientation = -4166

Wst.range(枠領域).api.ShrinkToFit = True

 

if __name__ == '__main__':

main()


 次に、Pythonファイルを呼び出しコマンドプロンプトで実行するExcel_VBA/マクロを作成します。

WshShellオブジェクト(Windows Script Host Shell Object)の変数『Wsh』を同型で定義

実行するPythonファイルのフルパスの変数『py_file』を文字列型で定義

実行するコマンドの変数『cmd_str』を文字列型で定義

 

WshShellオブジェクトを生成し変数『Wsh』に格納

実行するPythonファイルのフルパス『C:\Python_Excel_PG\Python_Excel_xlwings\PXS8100.py』を

変数『py_file』に格納

"python " と Pythonファイルのフルパス:変数『py_file』を結合した値を変数『cmd_str』に格納

変数『cmd_str』で指定したPythonファイルをコマンドプロンプトで実行


 Pythonファイルを呼び出しコマンドプロンプトで実行するExcel_VBA/マクロは次のようになります。

 【Excel_VBA/マクロ】

Sub ブックからブックへ更新1()

  Dim Wsh As WshShell

  Dim py_file As String

  Dim cmd_str As String

 

  Set Wsh = CreateObject("WScript.Shell")

  py_file = "C:\Python_Excel_PG\Python_Excel_xlwings\PXS8100.py"

  cmd_str = "python " & py_file

  Call Wsh.Run(cmd_str, 0, True)

End Sub


 それから、『ブックからブックへ更新マクロ1.xlsm』の更新ボタンに

 Excel_VBA/マクロ『ブックからブックへ更新1』をセットします。

 『更新』ボタンにマウスでカーソルを合わせて右クリックしたら表示される

 プルダウンメニューから、『マクロの登録』を選んでクリックしてください。

Img10_3_21

 『マクロの登録』画面が現れました。

Img10_3_22

 『マクロの登録』画面に表示されているマクロの一覧から、『ブックからブックへ更新1』を選択し、

 『OK』ボタンをクリックします。

 これで、『更新』ボタンにExcel_VBA/マクロ『ブックからブックへ更新1』がセットされました。


Img10_3_23

 それでは、『更新』ボタンをクリックしてExcel_VBA/マクロ『ブックからブックへ更新1』を実行してみましょう。


『漢字問題集.xlsx』
Img10_3_31
『漢字解答集.xlsx』
Img10_3_32

 Excel_VBA/マクロ『ブックからブックへ更新1』から

 フルパス『C:\Python_Excel_PG\Python_Excel_xlwings\PXS8100.py』を呼び出し

 そのPythonファイルをコマンドプロンプトで実行した結果、

 『漢字入力帳.xlsx』からデータが読みとられ、『漢字問題集.xlsx』・『漢字解答集.xlsx』へ

 データが書きこまれました。