ダブルループ処理で多数行×多数列のセルに値を書きこむ

　前々回『ループ処理で多数行のセルに値を書きこむ』は、

　行数がどんなに増えたとしても、

　for文をつかえば一つの順次処理にまとめられるという話でした。

　前回『ループ処理で多数列のセルに値を書きこむ』は、

　列数がどんなに増えたとしても、

　for文をつかえば一つの順次処理にまとめられるという話でした。

　では、行数と列数の両方とも増えたときは、どうすればよいのでしょうか。

　Python-xlwingsでは行数と列数の両方がどんなに増えたとしても、

　多数行に係るfor文と多数列に係るfor文を組み合わせれば

　一つの順次処理にまとめられます。

　変数『行番号』を、開始行から終了行になるまで１ずつカウントアップさせながら、

　併せて、変数『列番号』を、開始列から終了列になるまで１ずつカウントアップさせて、

　セルに値を書きこむ順次処理をくり返し実行する二重for文は、次のようになります。

　今回は、

　行に係るループ処理と列に係るループ処理を組み合わせて、

　行番号をカウントアップしていきながら、

　列番号をカウントアップしていき、

　X行×Y列のセルに値を書きこんでみます。

　xlwingsをつかいPythonでExcelを操作するときは、

　メモリ上に、Workbookオブジェクトを生成、更に、sheetオブジェクトを生成して、

　そのsheetを操作します。（ 『rangeの行番号と列番号を変数で指定』参照 ）

　Workbookオブジェクト名を『wb』、sheetオブジェクト名を『st』としておきます。

　予め、ソースコードパネルに

　と記述しておきます。

1. 1～3行・1～3列

　行を1行目から3行目まで1行ずつカウントアップしていきながら、

　列を1列目から3列目まで1列ずつカウントアップしていき、

　3行×3列のセルに対して、『X行Y列』を設定します。

　今度の問題は、『多数のセルの行番号と列番号を変数で指定して値を書きこみ』の

　4. 1～3行・1～3列と同じ問題です。

　そのときにつくったPythonプログラムの一部を記載します。

　for文をつかって、９回の順次処理を一つにまとめてみます。

　3行×3列に係る順次処理が、

　二つのfor文をつかうことで一つの順次処理にまとまりました。

　今回のコードを解説します。

　行を1行目から3行目まで1行ずつカウントアップする

　ということから、

　開始行は『1』、終了行は『3』となり、

　行に関するfor文は、

　for 行 in range(1,4):

　になります。

　列を1列目から3列目まで1列ずつカウントアップする

　ということから、

　開始列は『1』、終了列は『3』となり、

　列に関するfor文は、

　for 列 in range(1,4):

　になります。

　セルに対して、『X行Y列』を設定するということから、

　処理は、

　st.range(行,列).value = str(行) + ‘行’ + str(列) + ‘列’

　になります。

　次に、『行と列の二つのループ処理を行うための構文』を参考にしながら、

　二つのfor文と順次処理を組み合わせていきます。

　for 行 in range(1,4):

　for 列 in range(1,4):

　st.range(行,列).value = str(行) + ‘行’ + str(列) + ‘列’

　と記述します。

　ソースコードパネルは、

　となります。

　それでは、そのPythonプログラムを実行してみましょう。

　1行目から3行目で、1列目から3列目のセルに、

　つまり3行×3列のセルに『X行Y列』が書きこまれました。

　行を1行目から10行目まで1行ずつカウントアップしていきながら、

　列を1列目から10列目まで1列ずつカウントアップしていき、

　10行×10列のセルに対して、『X行Y列』を設定します。

　今回だけ特別に、保存Workbookファイル名を『PythonExcel_10_10.xlsx』としておきます。

　for文では、range関数の第２引数に、終了値を記述することになっているから、

　さきほどのPythonプログラムの

　『for 行 in range(1,4):』を『for 行 in range(1,11):』に、

　『for 列 in range(1,4):』を『for 列 in range(1,11):』に、

　書きかえるだけです。

　ソースコードパネルは、

　となります。

　1行目から10行目で、1列目から10列目のセルに、

　つまり10行×10列のセルに『X行Y列』が書きこまれました。

3. 1～100行・1～100列

　100行×100列のセルに対して、『X行Y列』を設定します。

　for文では、range関数の第２引数に、終了値を記述することになっているから、

　さきほどのPythonプログラムの

　『for 行 in range(1,11):』を『for 行 in range(1,101):』に、

　『for 列 in range(1,11):』を『for 列 in range(1,101):』に、

　書きかえるだけです。

　ソースコードパネルは、

　となります。

　それでは、そのPythonプログラムを実行してみましょう。

　1行目から100行目で、1列目から100列目のセルに、

　つまり100行×100列のセルに『X行Y列』が書きこまれました。

　このように、行数×列数がどんなに増えたとしても、

　多数行に係るfor文と多数列に係るfor文をつかえば

　一つの順次処理にまとめられます。

　試しに二つのfor文の開始値と終了値を

　適当な数字に書きかえて、Pythonプログラムを実行して、

　多数行×多数列のセルに値が書きこまれることを

　確かめてみてください。

　今回は、行数×列数がどんなに増えたとしても、

　多数行に係るfor文と多数列に係るfor文をつかえば

　一つの順次処理にまとめられて、

　多数行×多数列のセルに値を書きこむことができる

　という話でした。

　では、セルの値を読みとるときは、どうすればよいのでしょうか。

　これについては、次回『多数のセルの行番号と列番号を直接指定して値を読みとる』で紹介します。